苺の栽培管理について その2
②苺の定植
苺の苗の準備が出来たら次は、苺の定植についてです。
苺の定植についてですが、その前に知るべき情報があります。
花芽についてです。
まず、花芽って何かということから説明します。
花芽=読んで字の如く花の芽(苺の花の芽のこと。これが成長すると花が咲き、受粉をすると苺になる部分)
苺の葉っぱを全て取り除いていくと成長途中の小さな葉っぱが出て来ます。
さらにそれも取り除いていくと成長点(花芽や葉っぱになる元の部分)が出て来ます。
この成長点を顕微鏡で確認すると下記のような花芽が確認出来ます(花芽が出来ていない時には確認は出来ません)
下記の写真は、花芽の成長順に撮った写真になります。
見ながら作る越後姫参照
花芽自体の確認が出来た所で次に花芽の特徴について説明します。
越後姫の花芽の特徴についてです。
花芽が分化するのに直接的に左右するのは、①気温です。
また温度の状態によっては、②日の長さも大きく関係しています。
あとは③窒素レベル(苗に窒素分がどんだけ残っているのかということ)
※花芽分化とは、花芽が形成されるということです。
①気温についての関係性については、平均気温25℃以上と5℃以下では分化しない。
15℃以下では他の条件にあまり関係なく分化する。
②15℃〜25℃では、短日条件(日長12時間30分 9月10日以降)で花芽を分化する。
③窒素に関しては、9月1日までに液肥を与えるのを最後にすれば、自然と窒素レベルが下がってくる。
注意:花芽分化が進んでも上記の写真の分化指数2の時に30℃以上の高温に遭遇すると脱分化をおこしてしまう(俗にいう花芽が飛ぶという)。
②の条件の温度については、毎年条件に入る日にちが変わって来るので年によって花芽分化のスタートの時期が変わってくる。(秋が涼しいと花芽分化が早いし、秋が暑いと花芽分化がおそくなる)
簡単に説明すると
9月10日以降に涼しくなって苗の窒素レベルが低ければ花芽分化がスタートするということです。
(※ホームセンターで並んでいる苺の苗は、見た目を良くする為に窒素を与えて葉っぱが青々としていますが本来は窒素を少なくしなければいけない時期なので窒素が残っている分、花芽分化が遅れてしまいます。)
花芽分化の条件をクリアしたら、次は花芽の発育経過についてです。
花芽の発育は、0〜8の順番で成長していきます。
0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
未分化 | 分化初期 | 肥厚期 | ガク片分化期 | 雄ずい分化期 | 雌ずい分化期 | 完成 | ||
初期 | 中期 | 後期 |
0〜5のステージまで次の発育にすすむのに必要に日数は約3日です。
5〜8のステージまで次の発育にすすむのに必要な日数は約7日です。
発育の中で注意しなければことがあります。
ステージ0〜4に関して、ステージ0〜4の状態で定植を行った場合ハウス内の温度が高温になってしまうとせっかく成長した花芽が飛んでしまう可能性があります。(花芽が飛ぶ=花芽がなくなってしまうこと)
このステージ5以上であれば高温にあたっても花芽が飛ぶ心配はありません。
イメージではステージ0〜4は花芽が不安定な時期 ステージ5以上になれば大丈夫
上記のことからステージ5の時に定植をするというのが基本的な定植時期となります。
その年の気温によって定植時期は変化しますが、10月1日前後だと思っていれば問題ないと思います。
上記の文章を簡単にまとめると
①9月1日(生産者によって上旬までの方もいる)に肥料を与えるのをやめる
②花芽のステージを確認して定植時期を決める(花芽の確認が出来ない場合は、10月1日前後の定植)
③定植をする
となります。
では、定植方法についてです。
定植についてただ穴を掘って苗を穴に入れれば良いという訳ではなく
植える向きもあるので注意が必要です。
上記の絵は、苺の苗がポットに植わっている様子だということにして下さいm(><)m
クラウンの部分がエビでいうと背中(例えが分かりにくくてすいません)の様に曲がっている向きに花芽が出てくる様になっています。
このクラウンの曲がっている向きに苺が出てくると思ってもらえれば大丈夫です。
もし苗を見てもクラウンの曲がりが無くまっすぐな場合があったら下の絵の様に斜めに植えてあげて下さい。
そうすれば自然と外側に苺がなる様になります。
植える向きさえ覚えれば後は、植える深さについてです。
下の絵の右側の様に培地(土)よりも約1cm程度出ているような感じで植えて下さい。
下の絵の左側の様に培地(土)よりも低い位置に植えてしまいクラウンが土に隠れてしまうとクラウンが腐ってきてしまいます。
この2点さえ守れば定植も完璧です。
①苗には植える向きがある
②植える深さは、1cm培地よりも高くする
定植が終わったら毎日管理についてです。